控え室
徳間文芸三賞(大藪春彦賞、日本SF大賞、日本SF新人賞)の贈賞式は、例年、この時期に東京會舘エメラルドホールで開かれます。同時期に日本SF作家クラブの総会も開かれるのですが、今年はこちらは参加せず(年会費だけ払って)、直接控え室へ。伊藤さんのご両親とご挨拶します。お母様とは一度病院で一度お目にかかってからほぼ一年ぶり、お父様とは初対面です。おふたりともやさしい面差しで、伊藤さんとよく似ておいでです。
贈賞式では受賞者の言葉と選評をまとめた小冊子が配られるのですが、伊藤さんに「なり代わって」お父様がお言葉を書いておられました。この文章はSFジャパンにも掲載されていますが、これはやはり(こういう言葉が適切なのかどうかわかりませんが)必読というべきでしょう。同じSFジャパンには、伊藤さんがストーリーを書き、新間大悟氏が絵を描いたコミックも再録されています。このコミックとお父様の文章を読み合わせて、軽い衝撃を覚えました。
伊藤さんの『虐殺器官』と『ハーモニー』を読んでいてふと気づいたことがあります。前者は母と息子、後者は父と娘、についての物語なのですが、そのことを改めて思い出しました……。
今年は、SF大賞特別賞が栗本薫氏の『グイン・サーガ』に贈られています。こちらは夫君であられる今岡清氏が来ておられました。飛がデビューし「象られた力」頃までSFマガジンの編集長をなさっていた方です。恩人というべきでしょう。
「飛さんぜんぜん変わりませんねえ」
「いえもう髪が真っ白です」などなど。
ご自分がかかわったSF作家が、いまも活躍しているという話を聞くととても嬉しい、と話しておられました。