島根大学院 近代文学ゼミと飲み会

午後4時、母校島根大学の法文学部棟へ。1階の教室には14,5名の人。武田信明教授の近代文学ゼミ「飛浩隆を読む」と「飛浩隆と飲む」に参加するためです。
武田先生とは、島根大学総合文芸部の新歓ゼミでこれまで2度お会いしたことがありました。飛の作品を気に入ってくださっていたようです。ことし、飛の旧知のF氏(読書家)が大学院に社会人入学され、このゼミにも参加、どういういきさつだったのか飛の作品もとりあげられたのです。
一度目は社会人F氏が「ラギッド・ガール」(短篇)をレポートされ、これはあとでようすを教えてもらっていました。今回は院生I氏が「魔述師」、武田先生自らが「ラギッド・ガール」をレポート。I氏のレポートを聞いて飛のレトリックにルーティン性を指摘された思い(冷や汗)。先生のレジメ*1デューラーの犀の絵を皮切りに、ボルヘス、「傷」による世界の分節化などへと話が跳躍していく、もの。そのあと臨時参加の学生さんたちも交えて小ディスカッション。F氏からはあいかわらず鋭い指摘や突っ込みがありましたが、ニコニコと煙に巻きました。
午後6時すぎからは、場所を変えてえんえんと飲み会。話題の中心は「飛浩隆のSFは世界イチィィィィィー!」だったような気がしますが、痛飲していたのでもうなにがなんだか。
そのうち学生のおひとりから「クローゼット」のタイトルについてお話が。「ラギッド・ガール」のモティーフにレズビアニズムがある以上、「クローゼット」とClose It.というタイトルの取り合わせは、それを受けたものだと思っていた。成就しないカミングアウト――とざされたクローゼットの扉=Close It.という成り行きになるものだと思い込んでいた――と。
まったくお恥ずかしいことですが、飛は「クローゼット」がゲイやレズビアンの「カミングアウト」と対になる言葉だとは、まったく知らなかったのです……。びっくり。呆然。
「クローゼット」というタイトルは比較的はやくから思い浮かんだものでした。この小説のディテイルはむしろこのタイトルから導き出していった感覚があります。いったいなぜ「クローゼット」という語を選択したのか。――もちろん答なんかどこにもないのですが、妙に気になります。……う〜む。
ま、なにはともあれ、ひさびさにたっぷりお酒を楽しんで、家に帰り着きました。
みなさん機会がありましたら、また声をかけてください。

*1:その副題が「「犀」であることと「差異」であること」というもの。