「雨に唄えば」(オリジナル・サウンドトラックCD)
50周年記念、2枚組みの輸入盤です。ヘッドホンで耳をそばだてて聴くとアレンジのすばらしさやデビー・レイノルズの歌い口のさわやかな甘さにうっとり。1枚目は普通のサントラですがTangoなどディープな曲目も入っていますし、Supplemental Materialとして本編には未使用の音源が7トラックもあります。Would You? (unused version)とかSingin' In The Rain (alternate vocal)など。
2枚目はもっとマニアックで、この映画に使われた(制作当時すでに〈懐かしの名曲〉であった)曲たちが、さらに古い映画で使われたときの音源が沢山。
しかし50年前の映画の未使用音源がこれだけ保存されているのは凄いことですよね。
この映画のオープニングは、黄色いレインコートに身をつつんだ主演の三人が、雨の中こちらに背中を向けている場面。三人が差した傘にそれぞれ「ジーン・ケリー」「デビー・レイノルズ」「ドナルド・オコナー」のクレジットが入ると、三人がさっとこちらを向いて「Singin' In the Rain」を歌いだします。もう、わくわく度最高の幕開けなのです。
で、これからが本題。MGMの一大コンピレーション映画「ザッツ・エンタテインメント」の冒頭では、MGMミュージカルの歴史をふり返るように4つの「Singin' In the Rain」がメドレーされます。その最後にくるのはもちろん「雨に唄えば」のオープニング。しかし、そこでは傘にクレジットがかぶらないのです!クレジットをインポーズするまえの素材がちゃんと残っていたのでしょう。まあ、これくらいモニュメンタルな大作であればこその扱いなのかもしれませんが。
ところで、和田誠氏は、ご自身が監督した映画「麻雀放浪記」がビデオ化されるとき、公開時に涙をのんでカットした場面を復活させようとしたのに、もうそのフィルムは残っていなかったそうです。