書き出し

小説を書くのは苦手なのです。いつも逡巡するのは書き出しの部分。飛の頭の中になんか見えかけている混沌の中に、錘りをつけた糸をすっと垂らしていく工程です。かっちりした構成や結末をほとんど決めずに書きはじめちゃう*1わけなので、この書き出しが非常に重要。成否の80パーセントくらいを占めています。感覚としては、急なゲレンデのてっぺんからざっと滑り出すときの身構えに近い。どこをどう滑るかは決めていないけれど、斜面の全体的な感じはなんとなくわかっていて、天候や体調や道具のフィットぐあいも自覚しない領域で頭の中に入っている。そんな環境と自分のまじりあった「状態」を初期値にしてさあスタート、という感じ。
この「すっと入っていく」感覚がなければ一行もかけません。書き手側のこの感覚は、おそらく読み手側にも影響しているのでは、と推測していますが、それを実証する方法はないですね。
というわけで、iPod shuffle洗濯事件にもめげず、第2部を書き出すことに成功しました。まだ1.6KBだけですけど。

*1:だいたいどこらへんへ行きたいかだけはわかっている。