「崖の上のポニョ」(宮崎駿)

というわけで、また子ども連れで行ってまいりました。ジブリ映画を小屋で観るのは、「もののけ姫」以来かなあ。
いや、期待通り画面の隅から隅まで素晴らしい。色といい動きといい、もう目ン玉のほっぺが落ちそうです(日本語が変です)。
今回は迷路構造物は出てこないんですが、その分、舞台となる港町の構築がさりげなく御馳走。
飛は映画や小説を評するときの「世界観」って言葉が大嫌いなんですが、そういうことにこだわる人には安心して観ていられないかも知れないですね。お気の毒。とはいえ巷間いわれるほどお話しが破綻しているとかいい加減ということはなく、「ハウル」なんかにくらべればごく真っ当なシノプシスで、飛には何の不満もありません。作者は、「カリオストロ」みたくすき間にカミソリの刃一枚入らないほど建て付けのいいシャシンを作る気は、もうないんですから。(とはいえ設定やテーマの埋め込みなどはかなり手の込んだことがされている模様。だいいちポニョってさかなじゃないよね。神様と人間のあいだに産まれた子でしょ。)
あと、食品添加物たっぷりのハムやインスタントラーメンがおいしそうに描かれているのが痛快。それにぶつぶつ文句をいうフジモト氏が、宮崎アニメのエコ成分の尻馬に乗りたがる人たちへの揶揄のようでありました。
あと「観音様」は大女スキーの飛にはたいへんな眼福だったことです。彼女を取り巻くオーラ光は多幸感にあふれていて、脳内物質を大量放出している作者のガハハ笑いが聴こえてきたような気がしました。「2001年宇宙の旅」を追撃する出来栄えのトリップ映画です。

【追記】小学五年の娘は、場内が明るくなると、目がポニョのようにねむそうになっていました。聞くと「最後、どかーんっていうのがなくて、ねむたくなった」とのこと。なるほどね。