「エンジン・サマー」(ジョン・クロウリー)
- 作者: ジョンクロウリー,John Crowley,大森望
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2008/11
- メディア: 文庫
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訳者のホームページから「訳者あとがき」の冒頭部を無断で転載、
たいへん長らくお待たせしました。ジョン・クロウリー初期の代表作、Engine Summer (1979) の邦訳文庫版をお届けする。訳者の贔屓目かもしれないが、"永遠の名作"という言葉は、たぶんこういう小説のためにあるんじゃないかと思う。文明崩壊後のはるかな未来を背景にした、かぎりなく美しく切ない青春SFの傑作である。
時はいまから千年ほど先。〈嵐〉と呼ばれる地球規模の災厄によって機械文明はもろくも崩壊し、人口は激減。かつて宇宙の彼方にまで進出した科学技術は忘れられて久しく、そのころ地球を支配していた人類のことは〝天使〟と呼ばれている。千年後の世界に残された人々は、かつて天使が築いた文明の名残りにすがりつつ、自然と共存しながら細々と暮らしている。
主人公は、リトルベレア(Little Belaire)という町で生まれ育った17歳の少年、〈しゃべる灯心草〉(Rush That Speaks)。リトルベレアは、かつて大規模集合住宅に住んでいた人々が〈嵐〉を逃れようと集団で疎開し、はるばる旅をしたあと、ゼロから築き上げた町らしい(当初の人口は千人規模)。
失われたものを見つけ出し、聖人となることを夢見た〈灯心草〉は、やがて、幼なじみの少女〈一日一度(ワンス・ア・デイ)〉のあとを追うようにして町を離れ、冒険の旅に出る……。
小説は、天使が住むという伝説の〈空の都市〉にたどりついた〈灯心草〉が、聞き手である少女(天使のひとり)に向かってみずからの半生と冒険を物語る、一種のモノローグ形式をとる。
題名の"エンジン・サマー"とは、インディアン・サマーが訛った言葉らしい。とうにインドが忘れられたこの世界では、インディアンという言葉は死語となり、小春日和のことを"機械の夏"と呼んでいるわけだ。もちろんそこには、ブラッドベリ『火星年代記』冒頭の掌篇、「ロケット・サマー」のイメージが重ねられている。機械文明の夏は去り、人類は秋から冬へと向かっている……。(後略)
いやあワンス・ア・デイってほんと良い名前だなあ。ブラウンアイズより上だよね。
ところでこの本、刷り部数が極小らしいです。
後で買えないよー、って泣いても知らないよ〜ン。
飛はもう入手したから平気だよ〜ン。