選んだ4作について

今回の作品集のお話しがあったたとき、作品の選定方針にふたつの選択肢がありました。ひとつは個人全集的に過去のSFマガジン掲載作を網羅する(あるいはそこまでいかなくても広めに作品を選ぶ)もの、もうひとつががっしりした中篇を中心に編んでいく、というもの。
もちろん、飛としては後者しか考えられませんでした。
2004年の初夏に*1文庫新刊として送り出すのなら、最低でも現在のJAやJコレクションの標準とくらべて見劣りしないことが求められるからです。その観点で選定すると今回収録する3篇+1*2がぎりぎりのラインと判断しました。もちろん、この目標をクリアしたと言い張っているのではなくて、この品ぞろえでなくては目標のクリアがおぼつかない、という意味です。
落とした作品にもそりゃ多少は愛着がありますし、「中篇よりも『星窓』が良かった」と(信頼する読み手から)言われたこともあります*3から、一部の人には今回のラインナップに「あれれ」と思われたかもしれません。
飛としては04年のSFの現場(前線)に、あれらの若書きを送り出すのはかわいそうで、しのびなかったのだと、まあ、そんなぐあいに思っていただければと思います。
むしろ今回お色直しをした4作こそその意味では気の毒かな、と思いますが、まあとにかく頑張って読み手を楽しませてくれよと祈っている次第。
えー、つまりなにがいいたいかというと、
そんじょそこらの最新作には負けません。

*1:そう。最初はもっと早くお目見えする予定でした。

*2:「呪界のほとり」は中篇の合間の箸休めとして入れています。

*3:雑誌発表当時のこと。