BSアニメ夜話「銀河鉄道999」

録画を視聴。
面白い話が数ある中で、飛がいちばん「ぴぴっ」と反応したのは村上隆氏が、狩野山雪「梅に山鳥図襖」と金田伊功のアニメートを対比したくだり。

村上氏「金田さんが江戸時代に生きていたとしたら、狩野山雪のような絵を描いていただろう」

うんうんうん、と同意。
絵を描くときには、画題よりも技法よりも前に来るものがある。
野尻抱介さん『サリバン家のお引越し』isbn:415030758Xう書きました。

 絵画を成り立たせているのは絵の具や画布ではない。構図や配色でさえない。画家が絵筆をふるうストローク、腕の動きこそが絵画の本質だ。そのおさえようのない運動の欲求があらゆる画家の出発点だろう。同じことが小説にも言える。小説とは書き手のストローク??やむにやまれぬ思考や感情の運動??の痕跡である。小説の文章とはその運動の軌跡を紙上にプロットしたものにすぎないのだが、野尻の場合、そのストロークが、もうしびれるほどに「SF」なのだ。

結局のところ、読み手や聴き手や観客を動かすのは、送り手の持つこの「ストローク」ではないかと思います。アイディアやストーリイや考証や叙述トリック(笑)は、決定的なものでも何でもない。新しさや美しささえ実はどうでもいいのではなかろうかと。