『デス博士の島その他の物語 (未来の文学)』(ジーン・ウルフ)

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)
やっと読了。いや、肩が凝った……。
いちど斜め読みしただけですが、あまりにハイレベルでぜんぜん歯が立ちません。人の本を読むのは苦手なんだよなあ。さいきんもてなしのいい本しか読んでいないし。
しかしこれだけ多様な読みを許す本だと、いくらどう感想を書いてもネタバレにならないところがいいですよね。えー、これは、さりげない警告ですのでご注意。
「デス博士の島」は均整のとれたプロポーションで、これはわりと万人におすすめ。名作というべきでしょうね。よほどのことがなければ古びない強度を持っています。しかし、この結末からあたたかい励ましは受け取れないですよねえ。あなたがこの少年だとしたら、読み返して欲しいでしょうか? おれはやだな。やすらかに眠っていたい。といいながら、これだけは二回読みましたけど(笑)。そういう意味では邪悪な残酷作ですね。
「アイランド博士の死」はかなり歯ごたえがあって、表面上のネタをなぞるだけならこれだけの尺は要らないはず。読者に見えない部分で何が起こっているか知れたものではありませんが、それはぜったいに記述できない。なぜかというとそれは言語化できない半球のことだから。そのへん非常にもどかしい。しかしそんなに頭をぶんぶんふり回して、気分悪くならないのか>主人公。
「死の島の博士」。これが飛には最大の難物でした。もう、全然読めた気がしないよ。なんとか見当がつくのは、不死とクローンが「本」の隠喩であるらしいこと、後半明らかになるこの世界の危機が主人公の計略であるらしいこと、テキスト自体がスピーキング・ブックであることくらい。それを素直に読み進めると、全編を貫く主人公ハーレム状態の意味だとか、「性病」という直喩(221p)(そしてしつこく出てくる刑務所の男女同棟)だとかとつながるんですけど、これはかなりバイアスのかかったエロい読みでしょうね。ウルフはすけべえという結論でいいんでしょうか。いや、もちろん冗談です。
とにかくいちばんわかんないのがマーゴット博士。誰か助けてください。レビヤたん萌え。
アメリカの七夜」。SFMで読んでいたので今回再読はせず。
「眼閃の奇蹟」。えー、素直に読めばいいんでしょうか。最後の方、うっかり感動しそうになりましたが、これ、前向きのエンディングと考えてもいいんでしょうか。まだ良くわかりません。
ケルベロス第五の首』、第一部だけで投げてあるんですけど、なんとかしなくてはなあ。