「バルバラ異界(1)」(萩尾望都)

第27回日本SF大賞受賞作。
「蜜柑」を書き終えるのと入れ替わるように、きょう4冊がそろったので、ほくほく顔で夕食後に読みはじめ。
いま2巻目の真ん中あたりなんですが、
しかし、これは……ううーむ(絶句)。
凄い。(はー)
もうこれだけで『ラギッド・ガール』の40倍くらいこわいです。あの、降ってくるあたり。
お風呂にはいってからつづきを読もう。
【追記】
全巻読了しました。
導入部の恐怖トーンは、しだいに別なトーンへ移り変わっていきます。
現実と夢、未来の記憶、脳と身体、生と不死、自分と親・子孫。さまざまな主題と情報が、9歳から7年以上も眠りつづける少女青羽を触媒に、刻一刻と多様な化学変化を起こすのを読者は目の当たりにすることになります。
夢と現実の相互関係は読者を混乱させ翻弄しますが、非常に周到な進め方がされているので、読者は、プロットを早呑みしようとさえしなければOK。これら個々のモティーフが他のモティーフと照らしあうことで、次々と彫りの深い感覚を生み出していくようすを丹念に味わっていくことで、まんがでなくては読めない感興を――それがまた先鋭なところに達している――堪能することができます。
まだ一読しただけで、とても読めたという気はしません。とにもかくにも大変な作品。降参です。