ドレスデン国立歌劇場

土曜に上野で『タンホイザー』、日曜は横浜で『ばら』。
簡単にメモだけ。
ばらの騎士』を実際の舞台で聴いたのは初めてでした。最後の三重唱、マルシャリンの歌い出しの後を受ける弦楽合奏で、第一ヴァイオリンがソロを奏でているのですね。もっぱら大クライバーの古いデッカ録音を聴いていたので、はずかしながら今回初めて気がつきました(家に帰ってから総譜を見て確認しました。練習番号285のところ)。ppの柔らかな合奏の上にそっと乗ったソロ*1の、なんてきれいな音だったことでしょう。そこでとうとう涙があふれてしまいました。
タンホイザー』にしてもこの『ばら』にしても、深いオーケストラピットの中から終始絶えることなく多彩なニュアンスが滾々と湧きだしていたと思います。
月曜はヤンソンスバイエルン放送管弦楽団のコンサート。アンコールに「ばら」組曲の最終部が演奏され、期せずして贅沢な聴き比べになりました。こちらは二階のぐっと奥まった席だったので単純な比較はできませんが、バイエルンのほうが雄渾なブロンズ像だとすると、ドレスデンはよい匂いのする生身のからだのようだったと思います。

*1:このソロにだけespr.の指定があります。