「パンズ・ラビリンス」(ギレルモ・デル・トロ)

島根県民会館でもう30年以上も続いているホール上映企画「名画劇場」で。
ファンタジーを支える想像力は苛烈な現実とけっして切り離すことができないと教えてくれる――否、切り離してはならないのだと突きつけてくる、その認識に居ずまいを正される秀作。その認識に立つことで、あの白い花の意味が深くこちらの胸に差し込んできます。

とうぜんヴィクトル・エリセの神品「ミツバチのささやき」を想起せざるを得ない筋立てですが、本作はハリポタ的ファンタジー映画を擬装しつつ、うかうかと釣られた観客をひとまとめに地獄(現実)へたたき落としてやろうという意地悪さに彩られているようにも思えました。(そう考えている時点で、飛はなんともお気楽な阿呆だということになるのですが。)

……へえ、「火垂るの墓」の影響もあるのか。それは気がつきませんでしたが、なるほど。