クリスティーナ・ドイテコムの〈夜の女王〉

ニコニコに上がっているのを発見しました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2395663
動画つきもあるけど、こっちのほうが音がいいもんで。
飛が大学生のとき、ショルティ指揮の全曲盤ではじめて〈魔笛〉を聴いて、イチコロでやられちゃったです。コロラトゥーラの人ってみんなこう歌うのか……!と思ったけど、そんなことはなくて、やはりワン・アンド・オンリーな感じ。よかったら聴いてみてください。まさに妖刀のごとき声の切れとかがやき。人間くささがまるでないところが夜の女王にぴったり。
この盤は超豪華キャストとかいわれているけれど、初心者が聞いて「本当にいいなあ」と思ったのは、ヘルマン・プライのパパゲーノ、ゲルハルト・シュトルツェのモノスタトス、そしてこの夜の女王だけでした。第一幕のフィナーレがあんなに盛り上がるのはひとえにシュトルツェのおかげだし、プライとドイテコムに至ってはあまりに素晴らしすぎて、このあと聴いたどんな録音にもまったく心がうごきません。この二役が〈魔笛〉のもっともむずかしい役ですから、どうしても(不満も多いけれど)この録音を忘れられないですね。(上記ニコニコの音源は、別のもののようですけど。)
実家にLPがあるけれどじつはこの盤のCDを持っていないので、もう30年くらい聞いたことがなかったのでした。

もったいない

弁当をどかどか捨てるのはたいへん勿体ないことです。これを前面に押し出してくるのは訴訟上の戦略としてしごく当然。パンではダメで、ここは弁当でなくてはね。「賞味期限が切れるたび、うまい棒を山ほど捨てるので、もうけがでません」などと言ったら「なにを考えて発注しているのだ」と笑われるだけでしょう。やはり米の飯。
大手コンビニは、内装から掲示物までビジュアルに相当の費用をかけているはずで、そこへ画用紙+マジック+金釘流で「見切り品、弁当大安売り」などと貼ってあったら、飛はその店舗は敬遠するでしょうね。コンビニは客と店主が信頼関係を作る局面は無いので、「コンビニの通りであること」に信頼を置くしかないからです。むろんスーパーや個人商店でなら、見切り品をどしどし買いますけど。(隠岐ではお世話になったなあ……。)
まあ数ヶ月以内に「見切り品」のイメチェンが遂行されて、コンビニシステムに取り込まれ、信頼できるようになるでしょう。
【追記】
でも俺なら(たぶんみな同じことをかんがえるでしょうけど)まだ新しい弁当を、値引きしちゃうな。お客さんの喜ぶ顔が見たいしねっ。

訃報

去年からよくも続くものだ。
さすがに堪える。

栗本薫さんとは全く面識がない(おそらくご本人を見たこともない)。
飛がSFマガジンを毎月よみ続けるようになった時期と〈グイン・サーガ〉の開始とはほぼ同時期だったから、あの頃の「SFの勢いの良さ」を体現しておられたひとりとして(しかしそういう人が沢山いたよねえ)、やはり大きな印象を持っている。

亡くなってしまわれたのだなあ……。

栗本さんの(だからつまり小説の)文章を読むのは、じつに心地よかった。炊き立てのごはんをどんぶりに山盛りにして、わしわし食べ進むような、そんな気持ちの良さがあった。
みるからにおいしそうな湯気が立ち、どこからどう箸を入れても良く、できたてほやほやのピンと立った鮮度と、なんとも具合のよい粘りがあった。それじたいの味はあまり意識はしなくともよいくせに、いったん意識すればそこには必ずしっかりとした「底」を感じ取ることができた。

そう、まさに「わしわし」というフィジカルな感覚が(当時の)栗本さんの文章には必ずあって、それはこのwunderkindの、だれにも邪魔することのできない天稟の発露、その勢いがまさにそのまま書きとめられたテキストだったからだろう。
日本のSF作家で、こんな文章を書いた人としては、ほかに中井紀夫くらいしか思いつかない。

あのころは腹をぺこぺこにすかせた若者が、もう、たくさんいた。
男も女もすきっ腹をかかえてうろうろしていた。

そこへさっそうと現れた寮の食堂のおばちゃんが、業務用の炊飯器をばかっと開けてくれる。もうもうたる銀舎利の湯気、空きっ腹にひびく甘い匂い。でかいしゃもじを自在に操って、おばちゃんは(いや「お姉ちゃん」か)山盛りのごはんを何杯でも食わせてくれた。腹にたまるおかずもあったし、カレーもうまかった。
夢中であれこれ食べ、ふっと息をついて顔を上げると、緑色の網戸をはめた食堂のアルミサッシの向こうでは、山がもう夏の恰好をしていて、気の早い蝉ががんがん鳴きはじめている。
味噌汁を干し、漬け物と番茶で口をさっぱりさせ、お腹をぽんぽんとたたいて「ごちそうさーん」と厨房に声をかける。

いや、ほんと、あの頃はいつも腹をすかせてたなあ……。
ロッカーの隅のほうに、もしかしたらあの頃の弁当箱がまだあるかもしれない。

なんにせよ

  • インフルエンザは風邪とはちがう。
  • インフルエンザは毎年、半端なく人が死んでる病気。

ということがかなり浸透したのは、この騒動の意義のひとつだと思う。
マスコミがマスクを話題にするのは、

  • 「風邪」系のアイコン
  • 写真や映像で見せやすい
  • 在庫払底ネタは受ける

ということだと思う。
飛なんかは、鼻や口もとをついついいじるクセがあるので、そこをブロックする意味はあると思っている。
マスコミさんは、まあじゃんじゃんやっていただければ良いと思う。
しかし自治体はマスクじゃなくて、手指消毒スプレイかかんかを配布した方が良くないか?
まあマスクは安いからな。
飛は、蔓延期にそなえ、いまのうちにコンビニを巡回してアルコール除菌ティシュなどを確保しておく予定。
あと休みに入った高校生たちは、カラオケなんかには行かないでほしい。