「キング・コング」(ピーター・ジャクソン)

えーと最初のが「キング・コング」、ラウレンティス版が「キングコング」、今回が「キング・コング」ということでよろしいのでしょうか? 33年版の表記もナカグロがあったりなかったりするようですけれども。
最初1時間を超えたところでおしっこがしたくなってきましたが、一瞬たりとも席を立つ隙を与えない映画でありまして、そのまま2時間耐え抜きました。05年のおしっこ堪えさせ力ベストムーヴィーです。それと沼から出てくるあのイヤすぎる虫は夢に出てくるかもしれません。首んとこをキュポーってするあたりとかね。
CGコングの動かし方はややぎくしゃく(というのともちょっと違う、独特の加減速を)しており、さらに雄渾な見せ方も可能と思いましたが、オブライエン/ハリーハウゼンへのオマージュもあったのでしょうか。まああなた、このブログを見に来るような時間があるならすぐ映画館に行くことを推奨。耳から噴き出るほど特撮成分を充填してくれます。
ただ場面ごとの画調の設計にけっこう段差があります。冒頭(大恐慌)のトーンと最後(薔薇色の空)のトーンとのあいだにどのようなグラデーションや起伏*1が設定されていたのか、一度見ただけでは呑み込めませんでした(おしっこがまんしてたしな)。「リング」的な城壁が他のシーンの美術と完全にマッチしているかも疑問が残ります。*2なので10年後に見た時もこの映画を「大傑作」と称賛できるかどうか、いまは自信がありません。
ま、とにもかくにも大満足したので、つぎは「アルゴ探検隊7度目の航海」を希望。

*1:NY篇ではこのあたり明快なまでに王道。劇場の赤絨毯の質感からさむざむとした真夜中の街路に場面を移し、ビルを登るにしたがって夜が明けてゆき、最後には女優の背後がパリッシュ的に明るい空で占められる。どうでもいいけどコングがのぼって行くシーンで飛は「長猫」を想起しました。「朝日よ!」

*2:さらにいうと原住民との劇的コンタクトのシーンでいきなり驟雨がふりそそいだり、オバアの回りの水滴を超シャープに捉えたりと、ジャクソンの演出は瞬間風速をすこしだけ出しすぎるようにも思えます。