控え室
徳間書店のK氏にエスコートされて控え室に入ると、飛が一番乗り。ここは三賞の受賞者、各賞の選考委員、徳間書店の方々の待機場所。次々入ってこられるみなさんに、ごあいさつ。
ここK氏に「SFJ」と三賞の小冊子などを渡されました。びっくりしたのはついこないだ日本SF評論賞を受賞された横道仁志氏*1が「飛浩隆小論」を書いておられたこと。ちらっと見て、わっ、凄。K氏によれば10日足らずで書かれたのだそうで、若さと才能がうらやましい。
新人賞のタタツシンイチ氏は最初、も、も、ものすごく、き、き、緊張しておられました。わかるなあ。K氏にSFJを渡され『マーダー・アイアン』巨大カラーイラストに「おおお……」と感激の声を漏らしておられました。わかるなあ。タタツ氏は頭をまるく刈っておられましたが、このことについてはまたあとで。
大藪賞のヒキタクニオ氏はとってもカッコよかったです。
*1:のちほど会場でいただいた名刺の肩書きに「SF評論家見習い」とあって、笑いました。
パーティー
とても書ききれないほど多くの人にお祝いのことばをかけていただきました。
さすがに小松左京氏が来られたときには緊張。なんと受賞を寿ぐ歌を頂戴しました*1。ケータイでツーショットを撮らせてもらったのですが、あわてていて保存していませんでした! なんたる痛恨事。
第1回受賞者である堀晃氏(わー堀さんだ(以下略))とも写真を。氏のブログでよく写真を拝見するのですが、なるほどああやって声をかけているのですね。
堀氏「10年間も何してたの」
飛 「長篇書いてたんです」
堀氏「継続は力だなあ」
飛 (内心の声)新作読みたいですよぉ……。
藤田雅矢氏(初対面)、喜多哲士氏(ひげが板についてきましたね)、巽孝之氏(飛はまだ科学魔界会員なのだそうです)、小谷真理氏、小川隆氏、谷甲州氏、田中光二氏、森下一仁氏、新城カズマ氏、神林長平夫妻などつぎつぎと。ここで重大事発覚。飛がむかーし書いた「いとしのジェリイ」という作品があって雑誌発表直後にハガキでお褒めの感想をいただいた女性がいたのですが、それがだれあろう神林氏の奥様! うはー。あのハガキ、実家を解体すればきっと発見できると思います。
大森望氏からは「「象られた力」がオールタイム2位とはいかがなものか」と。それを私に言われても……と思っていたら氏のサイトに反省文が載っていたので、まあよしとしましょう。「ラギッド・ガール」は「本の雑誌」に乗った氏の『グラン・ヴァカンス』短評に刺激を受けて書いたものです、とお礼を言っておきました。
ここでふと近くのテーブルをみると、タタツ氏が友人らしき方々と談笑中。そのなかにはっとするほどの美女がいらして、タタツ氏のくりくり頭を何度となく「よしよし」とばかりにナデナデしておられました。うらやましすぎる。だれか飛をなでてくれんか……。
そうこうしているとやっぱり髪の短い北野勇作氏が飛のそばに。短編集での大賞受賞がとてもうれしい……と声をかけてくださいました。そうでしょうそうでしょう、飛もうれしいです。(北野氏とは二次会でさらに意気投合することに。)
そしてもちろん早川書房の阿部氏、塩澤氏。塩澤氏はいつもどおり仕事がしゃれにならん状態なようです。あと、歯が生えていました(びくびく)。
さてここで見知らぬ三人が飛の方に近寄ってきます。初老の上品な婦人と、中学生くらいのとても可愛い少女、そしてその弟とおぼしき小学生。婦人いわく「この子が飛さんにお尋ねしたいことがあるそうで……」。これはもしかしたら私のファンかしら(どきどき)と思いながら「なんでしょう?」と訊ねると、くだんの少女、はにかんだ微笑みをうかべ、キラキラした瞳でこのように話すのでした。
「あの、SFってなんですか?」
さすがに一瞬どう返事をしたらいいかわかりませんでした。
この少女、大藪賞ヒキタ氏の姪ごさんとのこと。そばにいた塩澤氏も新城氏も高みの見物とばかりにクールに笑って助け船を出してくれず……。がんばって説明はしてみましたが、わかってもらえたかどうか……。
石川喬司氏にも声をかけていただきました。飛の作品も読んでくださっているとのこと。光栄。SF評論賞への期待など述べると、氏いわく
「飛さんはじぶんの中に批評家がいるからね」
ぎく、となった飛の顔を見られたと思います。いやはやさすがに鋭い。参りました。
友人関係で飛がご招待していたのは、『飛浩隆作品集』編纂者の岡田忠宏氏、山本浩之・陽子夫妻、それと香月祥宏氏。かれらなくして飛の復帰はなかったでしょう。ありがとうございました。あと、うちの家族がお世話になりました。
パーティーの終わりぎわ、神林氏と立ち話。なるほど、うん、そうですね。がぜん闘志がわいてきました。
二次会
東野司氏の奥様とお喋りをしながら二次会場へ。たしか有楽町のHMVが入っているビルのそば? なんかもうよく分かりません。
受賞者テーブルにはなんだか人が寄りつかず、後のほうで参加してきた、大森望、三村美衣、小浜徹也、香月祥宏各氏らに声をかけて座ってもらいました。くだらない話を山ほど。
- 飛とカルトっぽい集団が対決した話
- 生命保険と病気にまつわるいろいろ(もうそういう歳だよね)
- 三村美衣は「鉄」ではないか
- KT氏が小説書けんといって相談した相手は間違っとる。>飛に相談すればよい。もっと書けなくなるから。
あと三村氏から「「デュオ」をさしおいて「象られた力」が2位なのはどうよ」と。いやだから私にそれを言われても……。ま、「デュオ」は名作、「象力」は傑作ということでひとつ納得していただきたい(意味不明)。
このテーブルはわりと人が出入りしていまして、新城氏や塩澤氏なども。やがて北野勇作氏がやってきて
北野氏「あの、『腕をふりまわす』ゆーのが、凄くよくわかるんです」
飛 「そうでしょう? 子どものときって、ふつう腕をふりまわしますよね」
北野氏「ふつう腕をふりまわします」(断言)
飛 「塩澤さん聞きましたか。やっぱりふつう腕をふりまわしますよ」
塩澤氏「(煙草を吸っている)」
飛 「以前書いておられた『小説を掘り出すようにして書いていく』というの、あれ凄くよくわかりました」
北野氏「そうでしょう」
飛 「書いているうちに、突如小説の辻褄が合いますよね」
北野氏「なにが楽しいて、それが気持ち良くて小説を書いているようなもんです」
飛 「そうですよね!」(やったあ)
以下、北野氏によれば「構想を立てて小説を書くと辻褄の合わないこともあるが、掘り出しているかぎりは(あらかじめ完成されているのを掘り出しているので)ぜったいに辻褄が合う」とのこと。いやほんと、あの「突如辻褄が合う」快感はじっさいやみつきになります。あと北野氏によればJコレ作家の○○○○氏もきっと「腕をふりまわす」タイプに違いないらしい。
あと「横道氏の飛論、全然わかりませ〜ん(はあと)」と因縁をふっかけたのは私です。いや酔っぱらっていて読解できなかっただけなので、大変申し訳ない。あのあとしらふできちんと読み返しました。
山田正紀氏のあいさつで二次会はお開き。幹事の東野さん、お世話になりました。
下へ降りたところで、おお、あれは野阿梓氏ではないか(初対面!)。噂の長駆を見上げるようにしてごあいさつ。
野阿氏「10年間も何してたの」
飛 「長篇書いてたんです」
野阿氏「継続は力だなあ」
飛 (内心の声)新作はやく読みたいですよぉ……。